五十肩・巻き肩の本当の原因は「サボり筋」?タイプ別セルフケア
肩関節はなぜ動きが大きいのか
肩関節は「球関節」と呼ばれ、身体の中でもっとも自由度の高い関節です。似た構造を持つ関節に股関節がありますが、股関節は体重を支える役割があるため強固な靭帯で固定されており、肩ほどの可動域はありません。
人間が二本足で立つようになったことで、肩は体重を支える必要がなくなり、その代わりに手を器用に使うための広い可動域を手に入れました。肩関節は上腕骨・鎖骨・肩甲骨という複数の骨から構成されており、そのぶん多くの筋肉によって支えられ、複雑な動きを可能にしています。
肩関節を支える4つの筋肉
肩関節は「上腕三頭筋」が後ろから、「肩甲下筋」が前から、互いに挟み込むように支えています。さらに肩甲骨も、後ろを「菱形筋」、前を「前鋸筋」が支えています。
この4つの筋肉のうち、どれか一つでもサボり出すと、肩は正常な動きを保てなくなっていきます。
「巻き肩」の本当の原因
肩が前に出てしまう「巻き肩」は、一般的には身体の後ろの筋肉が弱くなり、前側の筋肉が硬くなっていると考えられています。そのため、胸の前を伸ばすストレッチなどがよく紹介されています。
しかし、残念ながらこのストレッチをいくら続けても、巻き肩は改善しません。実際には、身体の前にある「肩甲下筋」や「前鋸筋」がサボることで、それ以外の前側の筋肉が過剰に働き、肩を前に引っ張ってしまっているのです。ストレートネック(スマホ首)と呼ばれる状態も、同じ仕組みで起こっています。
巻き肩やストレートネックの改善で本当に必要なのは、サボっている「肩甲下筋」「前鋸筋」をしっかり働かせることです。
「いかり肩・肩こり」の本当の原因
いかり肩の方は、肩を後ろに動かす筋肉である「上腕三頭筋」や「菱形筋」がサボり、代わりに他の筋肉が過剰に働いている状態です。特に、菱形筋の代わりに「肩甲挙筋」が過剰に働いている状態が、いわゆる 「肩こり」です。
タイプの見分け方
巻き肩タイプ
・見た目:肩が巻くように前に出ている
・押して痛い場所:鎖骨のいちばん外側の下
いかり肩タイプ
・見た目:肩をすぼめるように上がっている
・押して痛い場所:耳たぶの真下から少し背中側
※これらはあくまで目安です。当てはまらないケースもあります。
放置するとどうなるか
このような間違った関節運動を続けていると、肩に痛みが出てくることがあります。痛みが出ているときは、大小はあっても炎症が起きていることが多く、この炎症を気づかないまま繰り返してしまうと、肩関節を覆う「関節包」という膜が徐々に硬くなっていきます。
本来、肩関節は動きが大きい関節のため、関節包はゆるくできています。しかし、この状態を繰り返すことで関節包の柔軟性が失われてしまった状態が「五十肩」です。
改善への道筋
五十肩や巻き肩、肩こりであっても、まず取り組むべきことは「関節の正しい動きを取り戻す」ことです。正しい動きを取り戻すことで、過剰に緊張していた筋肉が緩み、肩こりも改善していきます。
五十肩の場合は、正しい動きを取り戻しながら関節包を少しずつ伸ばしていくことで、可動域を取り戻すことができます。
肩を支えるセルフケア
肩関節を支える「上腕三頭筋」「肩甲下筋」を整えるエクササイズです。

肩甲骨を支える「菱形筋」「前鋸筋」を整えるエクササイズです。

ご自身のタイプを踏まえながら、日常のセルフケアとして取り入れてみてください。
